猫の避妊・去勢手術について知っておくべき全てのこと
「猫は避妊・去勢手術をしたほうがいい」と動物保護団体や動物病院などから聞くことは多いと思います。
避妊・去勢手術は飼い主の義務であり、猫への愛情表現だとも言われるほど。しかし、健康的な猫の体に手術を施すには不安もあります。
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そこで今回は、これから避妊・去勢手術は「不安だな」と考えている方に避妊・去勢手術の全てをお伝えします。
どうして避妊・去勢手術をするの?
避妊・去勢手術は治療行為ではなく、健康な猫に施す予防医療なので、マストな手術ではありません。
しかし、今や飼い猫の半数以上が避妊・去勢手術を受けさせると言われています。
避妊・去勢手術をするのは計画外の繁殖を防ぐためで、猫の発情期は年間を通じて常に起こりえます。
メス猫は妊娠中であっても交配、受精をし、中には年に数回も出産をするケースもあります。
飼い猫であれば繁殖はしないですが、多頭飼いや屋外と屋内を行き来するのであれば、計画外の繁殖も起き、発情中の異常行動が原因で、自身の妊娠や他猫の交配にかかわる可能性もあります。
計画外に繁殖された猫は多頭飼育崩壊や飼育放棄、殺処分といった結末へ続くことも少なくありません。
このような問題を回避するために、飼い猫には避妊・去勢手術を行うことが推奨されています。
避妊・去勢手術は…
✔︎予防治療
✔︎計画外の繁殖を防ぐために行う
避妊・去勢手術のメリットとデメリット
避妊・去勢手術のメリット
♀メス猫
発情期が起こらなくなる
子宮関連の病気の予防(子宮蓄膿症や子宮筋腫、子宮癌など)
計画外の妊娠を予防できる
♂オス猫
マーキングが軽減されるケースがある
発情期の異常行動がなくなる、軽減される
睾丸にまつわる病気の予防
オス・メス共に発情期を抑制できるという効果は大きなメリット。発情期の間は、まるで人間の赤ちゃんのような声で一日中鳴き続けます。
マーキングも増え、相手を探し求めて自宅から突発的に脱走をしようとしたり、うるさくて近隣迷惑になる可能性もあります。
避妊・去勢手術をすることで、このような問題を未然に防げるのは家族にとっても良いこことです。
避妊・去勢手術のデメリット
肥満になる
一時的な食欲減退
ホルモンバランスの乱れによる体調不良
脱毛する
肥満はオス・メスともに多くみられ、手術前と同じ食生活を送っているにも関わらず体重が増加します。
キャットフードにはこのような術後の肥満予防を考えた製品もあるので、猫の状態に応じて使い分けましょう。
避妊・去勢手術を受ける目安の時期
獣医師によって見解が分かれますが、避妊・去勢手術をする時期は生後半年~1年前後です。
我が家の猫はスプレー行為をし始め、部屋中がオシッコ臭くなったので、獣医師と相談の上、去勢手術をしました。
メス猫の場合は生後8か月ほどで最初の発情が起こり、子宮が膨張し、体内の血流も増加します。
この状態で手術を行うと猫の身体にリスクをもたらすので、発情が起こる前に手術を済ませることがより安全です。
メス猫の発情は2週間ほどで自然と落ち着くものですが、中には交配、受精をしない限り発情がおさまらないという猫も。この場合、手術が先送りになる上に、大声で昼夜問わず鳴き続けます。
動物病院の多くは発情期間中の猫の手術を引き受けないという方針をとっているので、子猫を家族に迎える時は、こまめに動物病院を受診し、発育過程の観察と適切な手術のタイミングを相談しておくと安心です。
避妊・去勢手術を受ける時期は…
✔︎生後半年から1年前後
✔︎スプレー行為をし始めたら
避妊・去勢手術にかかる費用
避妊手術は3~5万円、去勢手術は2~3万円ですが、あくまでこれは手術にかかる費用。病院や猫の状態によりますが、手術費用以外にかかる費用は下記です。
初診料
診察料
血液検査
麻酔
抗生物質(術後の化膿予防)
エリザベスカラー
療法食(一時的な食欲減退対処のため)
抜糸
経過観察時の再診料
実際にかかる費用は避妊手術で8~10万円、去勢手術で5~8万円ほどと考えておきましょう。
自治体による助成金制度
現在、ほぼすべての自治体で猫の避妊・去勢手術に伴う助成金支給制度が整っています。
この助成金は、手術費用の一部を助成金として受け取ることができ、飼い主の経済的な負担軽減につながります。
飼い主の住民票登録がされている市区町村に問い合わせ、具体的な手続き方法を確認しましょう。
手術の前に事前に申請手続きを済ませる
飼い主自身が自治体で手続きを行う
年度内予算の上限があり、必ずしも助成されるものではない
保護猫、地域猫(自身の飼い猫でない猫)も助成金支給の対象となる
申請が受理され、助成金が確定するまでに1〜2か月かかる場合があるので、手術予定時期が決まり次第、助成金の申請手続きを済ませておきましょう。
ペット医療保険
ペットの医療費を補償するペット保険制度の普及が進んでいますが、避妊・去勢手術の費用は多くの保険会社が補償の対象外と定めています。
理由は避妊・去勢手術は病気の治療ではなく予防治療だからです。すでにペット保険に加入している場合は、ペット保険の契約条項や規約、コールセンターへ相談をしましょう。
避妊・去勢手術の流れと手術の内容
手術時間は約30分と短いものの、前後に麻酔処置を施すので、帰宅は麻酔から目が覚めてからと考えておきましょう。
メスの場合は、開腹し子宮を摘出、縫合という流れ。若くて健康な猫であれば手術はすぐに終わります。
しかし、持病を抱えていたり、高齢な場合は開腹時に別の病気が見つかり、その手術もすることがあります。
オスの場合は、麻酔をかけ、睾丸を摘出し完了。開腹を伴わないので、手術時間も短く、術後の回復もスムーズです。
タマタマは取るか、小さくするかの2択。獣医師と猫の状態で決まるようです。
[chat face=”jade.jpg” name=”去勢したジェイ” align=”left” border=”blue” bg=”none”]小さくなったニャ[/chat]
避妊・去勢手術後のケアと通院
手術後の痛みは翌日にはほぼ収まり、猫もさほど患部を気にすることもないでしょう。
ただメスの場合、開腹後の縫合により腹部に違和感を覚え、患部を舐めてしまう場合があるので、1〜3週間はエリザベスカラーを着用します。
抜糸は手術が終わってから1〜2週間後に行いますが、可能であれば溶ける糸を使用する病院で手術をしてもらいましょう。猫に無駄なストレスがかからずに済みます。
[chat face=”jade.jpg” name=”去勢したジェイ” align=”left” border=”blue” bg=”none”]舐めてたら溶けたニャ[/chat]
多頭飼いの場合、エリザベスカラーの着用や術後の神経質な様子から、他の猫とトラブルになる場合もあるので、1週間は別部屋で過ごさせると安心です。
去勢手術でスプレー行為は治る?
生後1年未満で去勢手術をするとスプレー行為をしなくなるという情報もありますが、去勢をしてもスプレーをする猫はいます。
去勢手術をすることで、オス特有のホルモンバランスの分泌に変化が起こり、縄張り意識の軽減や発情期特有の行動が見られない状態になるので「スプレーはしない」という情報が流れているのだと思います。
しかし、多頭飼いの場合や本来の性格からスプレーを行う場合もあることは理解する必要があります。
避妊去勢手術で性格はかわる?
避妊・去勢手術と性格の変化には医学的な根拠はありません。
手術後は「性格が穏やかになった」「甘えん坊になっ」たという声もありますが、これは猫の成長とともにみられる性格の変化ともいえるでしょう。
生後数か月のやんちゃ盛りな時期を過ぎ、落ち着きを見せる時期と避妊・去勢のタイミングが重なったからとも言えます。
ただ、オス猫の中には攻撃性が軽減されるケースもあります。必ずしも性格にまで変化をもたらす処置ではないので、過度な期待はせずにおきましょう。
https://nekoweb.jp/russian-blue-personality/
避妊・去勢手術はかかりつけ医と相談を
賛否両論ある猫の避妊・去勢手術ですが、飼い猫として暮らすうえでは、やはり施すことが安心であり、安全に繋がるでしょう。
手術を行うタイミングはかかりつけ獣医師と相談の上で決め、助成金制度も活用することをおすすめします。
https://nekoweb.jp/canagan-after-surgery/